ドローン飛行許可が必要になる10のケース

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ドローンを飛ばすために許可が必要なケースが10個あります。

厳密に言うと

  • 飛ばしたい「場所」が規制の対象になっている場合>>>「許可」申請(4つ)
  • 飛ばしたい「方法」が規制の対象になっている場合>>>「承認」申請(6つ)

となるのですが、特に区別して覚える必要もありません。ここでは「許可」が必要なケースとします。

航空法で定められているドローン飛行許可が必要になるケースは以下の10個です。

詳しく解説していきます。

空港などの周辺の空域

航空機やヘリコプターの飛行の安全を確保するため、空港やヘリポートの周辺ではドローンの飛行が制限されています。飛行させるときは許可を得る必要があります。

規制の対象になっている空域は国土地理院地図によって調べることができます。

地図に示された緑色の範囲が規制の対象になっている空域です。

空港・ヘリポートごとに許可が必要な高度が設定されているので、緑色の範囲内であっても高度によっては許可が不要になる場合があります。

この高度については規模の大きな空港では「高さ制限回答システム」で確認することができます。

小さな空港やヘリポートでは直接問い合わせて確認する必要があります。

出所:国土地理院地図

地表または水面から150m以上の空域

航空機やヘリコプターの飛行の安全を確保するため、地表または水面から150m以上の空域もドローンの飛行が制限されています。飛行させるときは許可を得る必要があります。

「150m以上」とは「地表または水面」からの高さであり「標高(海抜)」ではありません。山の頂上から飛ばす場合は頂上から150m以上なら許可が必要ということになります。

人口集中地区(DID地区)内の空域

人や物の安全を確保するため、人口集中地区(DID地区)ではドローンの飛行が制限されています。飛行させるときは許可を得る必要があります。

人口集中地区は国土地理院地図によって調べることができます。

地図に示された赤色の範囲の上空が規制の対象になっている空域です。

人がいない場所でも、自分の所有する土地の上空を飛ばす場合でも、人口集中地区である以上は許可が必要です。

出所:国土地理院地図

緊急用務空域:原則飛行禁止

航空法の改正により2021年6月1日から国土交通省が「緊急用務空域」を指定できるようになりました。

災害などで捜索・救助などの緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保するために指定されます。

緊急用務空域が指定された場合、ドローンの飛行は原則禁止となります。空港周辺、150m以上の空域、人口集中地区上空などの許可があっても同様です。

許可を取得するためには、飛行の目的が報道取材、インフラ点検・保守など真に必要と認められる飛行である必要があります。

ドローンを飛行させる前に、緊急用務空域が指定されていないかを確認する義務が、ドローンを飛行させる人に課されていることにも注意が必要です。国土交通省のサイトTwitterで確認できますので、ドローン飛行前には必ず確認するようにしましょう。

夜間での飛行

夜間(日没から日の出まで)はドローンの位置や姿勢、周囲の障害物などの把握が難しく、ドローンの適切な制御も難しくなります。

墜落など事故発生のおそれが高まるため、夜間でのドローンの飛行は制限されています。飛行させるときは許可を得る必要があります。

目視外での飛行

ドローンを飛行させるときは、ドローンと周囲の状況を「目視」で常に監視する必要があります。

ドローンの位置や姿勢、周囲の障害物などを把握したうえでの飛行でないと安全を確保できないからです。

そのため目視外の飛行は制限されており、飛行させるときは許可を得る必要があります。

「目視」とは、ドローンを飛行させる本人が自分の目で直接ドローンを見ることです。メガネ、コンタクトレンズは大丈夫です。

双眼鏡やモニターで見ることは目視にはあたりません。また補助者が監視している場合も目視にはなりません。この場合には許可が必要になります。

人または物件との距離が30m以上保てない状況での飛行

人や物件の安全を確保するため、ドローンを飛行させるときは、人または物件から30m以上の距離を保つ必要があります。

30mの距離を保てない状況で飛行させるときは許可を得る必要があります。

「人」にはドローンを飛行させる者とその関係者を含まない、第三者のことをいいます。

「物件」とは第三者が管理する車両や工作物のことをいいます。具体的には自動車、鉄道、ビル、住居など。土地や樹木、雑草などは物件には含まれません。

電柱、電線、信号機や街灯なども物件に含まれます。そのため人口集中地区ではない場所でも、これら物件と30mの距離が保てないことを理由に許可が必要になるケースが多々あります。

イベント上空での飛行

多数の人が集まるイベント(催し)が行われている場所の上空では、原則ドローンを飛行させることができません。ドローンが落下したときの人への被害が大きくなる可能性が高いためです。飛行させるときは許可を得る必要があります。

「多数の人が集まるイベント」にあたるかは、特定の場所や日時に開催されるものか、集合する人の人数などのほか、主催者の意図なども含めて総合的に判断されます。

混雑による人混みや信号待ちなど自然発生的なものはイベントには含まれません。

危険物の輸送

ドローンによる危険物の輸送は原則行うことができません。墜落した場合などに危険物の漏出、爆発などにより被害が大きくなる可能性が高いためです。輸送を行う場合には許可を得る必要があります。

危険物には高圧ガス、可燃性物質、火薬などが該当します。農薬も該当するので、農薬散布にドローンを使う場合には許可が必要になります。

バッテリーや燃料も危険物に該当しますが、ドローンを飛ばすために必要なバッテリーや燃料は危険物には該当しません。

物件の投下

ドローンからの物件の投下は原則行うことができません。物件の投下により地上の人や物件に危害がでる可能性があるからです。また物件投下によりドローンのバランスが崩れるなどの危険もあります。物件の投下を行う場合には許可を得る必要があります。

物件には農薬や水などの液体も含まれます。そのため農薬散布にドローンを使う場合には許可が必要になります。

ドローンで輸送した物件を置く、設置する場合は投下にはあたらないので許可は必要ありません。

この事の執筆者


大西 務(おおにし つとむ)

京都府在住。1974年生まれ。2007年行政書士試験に合格。製薬会社の薬事部門で申請や届出などの業務を10年行い、2019年末に退職。2020年7月に「行政書士大西事務所」を開業→2024年9月廃業。50歳を前にして離婚も経験。温泉好きのいぬバカが書いています。

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