化粧品製造業許可を取得するために必要なこと(要件)

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化粧品を取り扱う許可として薬機法に定めらているものには「化粧品製造販売業許可」と「化粧品製造業許可」の2種類があります。

ここでは化粧品製造業許可がどのような場合に取得する必要があるのか、また許可を取得するためには何が必要なのか(要件)を確認していきます。

「化粧品製造販売業許可の要件」についてはこちら

化粧品製造業について

包装・表示・保管にも製造業許可が必要

一般的に「製造」とは原料を加工して製品にする工程をいいますが、薬機法では、「包装」・「表示」・「保管」も製造工程の一部と位置づけられています。

原料を秤量・混合する工程だけでなく、容器への充填、表示、包装、また完成した製品を出荷するまで保管する製造所についても製造業許可を取得する必要があります。

市場に出荷・上市するには製造販売業許可

化粧品製造業許可を取得してできることは化粧品の「製造」であり、化粧品を市場に出荷・上市することはできません。市場に出荷・上市するためには別に「化粧品製造販売業許可」を取得する必要があります。

「化粧品製造販売業許可の要件」についてはこちらをご覧ください。

製造業許可を取得していれば、製造販売業許可をもっている他社から委託を受けて化粧品を製造することもできます。

化粧品製造業許可の2つの区分

化粧品製造業許可は製造工程により2つの区分に分けられています。(法第13条第2項、施行規則第26条第3項、H16.7.9薬食発0709004第3)

許可区分認められる製造工程備考
①一般 区分化粧品の製造工程の全部又は一部を行うもの。(②に掲げるものを除く)原料を加工して製品にする工程に加え、容器への充填、一次包装(中身を直接包装)、小分けなども含みます。一般区分の許可があれば、包装・表示・保管を行うことができます。
②包装・表示・保管 区分化粧品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの。「包装」:二次包装のみです。一次包装を行うにには「一般区分」の許可が必要です。
「表示」:薬機法で定められている記載事項を記載することをいいます。
「保管」:市場に出荷前の製品を保管することをいいます。

化粧品製造業許可を取得するために必要なこと(要件)

化粧品製造業許可を取得するためには以下の要件がそろっている必要があります。

  • 製造所の構造設備が厚生労働省令で定める基準に適合していること(薬機法第13条第4項第1号)
  • 申請者(法人の場合は業務を行う役員)が欠格条項に該当しないこと(薬機法第13条第4項第2号)
  • 責任技術者を設置すること(薬機法第17条第5項)

以下で詳しく見ていきます。

製造所の構造設備が厚生労働省令で定める基準に適合していること

製造所の構造設備が適合すべき基準は薬局等構造設備規則第13条、13条の2に規定されています。

(一般区分の製造所の構造設備)

  • 製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること。
  • 作業所が換気が適切であり、かつ、清潔であること。
  • 作業所が常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区分されていること。
  • 作業所が作業を行うのに支障のない面積を有すること。
  • 作業所が防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
  • 作業所は床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること。
  • 作業所が廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
  • 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
  • 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。
    (ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない。)

(包装等区分の構造設備)

  • 製品等及び資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造及び設備を有すること。
  • 作業所が作業を行うのに支障のない面積を有すること。
  • 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。
    (ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない。)

申請者(法人の場合は業務を行う役員)が欠格条項に該当しないこと

申請者(法人の場合は業務を行う役員)が薬機法に定められている欠格条項(第5条第3号)に該当しないことが必要です。

過去に薬機法違反で許可を取り消された会社であることや、麻薬中毒者であることなどが欠格(許可を与えることがでいない者)として定められています。

 第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者

 第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者

 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、3年を経過していない者

 イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から2年を経過していない者

 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 精神の機能の障害により製造販売業者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適正に行うことができない者(施行規則第8条)

責任技術者を設置すること

化粧品の製造業者は製造所ごとに「責任技術者」を設置する必要があります。(薬機法17条第5項)

責任技術者とは化粧品の製造を実地に管理する責任者のことです。

責任技術者には一定の基準が定められており、この基準に該当するものでなければなることができません。(施行規則第91条第1項)

  1. 薬剤師
  2. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
  3. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
  4. 厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

この事の執筆者


大西 務(おおにし つとむ)

京都府在住。1974年生まれ。2007年行政書士試験に合格。製薬会社の薬事部門で申請や届出などの業務を10年行い、2019年末に退職。2020年7月に「行政書士大西事務所」を開業→2024年9月廃業。50歳を前にして離婚も経験。温泉好きのいぬバカが書いています。

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