化粧品製造販売業許可を取得するために必要なこと(要件)

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化粧品を取り扱う許可として薬機法に定めらているものには「化粧品製造販売業許可 」と「化粧品製造業許可 」の2種類があります。

ここでは化粧品製造販売業許可がどのような場合に取得する必要があるのか、また許可を取得するためには何が必要なのか(要件)を確認していきます。

「化粧品製造販売業許可の要件」についてはこちら

化粧品製造販売業許可とは

化粧品を「製造販売」するとは

薬機法では「製造販売」とは、製造等(他に委託して製造する場合を含み、他から委託を受けて製造する場合を含まない。)をし、または輸入した製品を、販売、貸与、授与することをいいます。( 薬機法第2条第13項)

つまり、化粧品製造販売業許可とは製造業者が製造(自社で製造、他社へ委託して製造、輸入)した化粧品を市場に出荷・上市するために必要な許可ということです。(薬機法第12条)

一度市場に流通した化粧品を仕入れて販売する事業者(卸売業者や小売業者など)は、製造販売業許可を取得する必要はなく、また医薬品などとちがい「販売業」に関する許可制度がありませんので、販売業許可も必要ありません。

「製造」という文字が含まれますが、「製造+販売」という意味ではありません。この許可では製造行為を行うことはできないので注意が必要です。製造するには別に「製造業許可」を取得する必要があります。

「化粧品製造販売業許可の要件」についてはこちら

製品の品質・安全性に最終的な責任を負う

化粧品製造販売業者は市場に出荷・上市する化粧品の品質や安全性などの最終的な責任を負うことになります。

この点が製造販売制度の最も重要なポイントです。

その責任は、化粧品を自社で製造するか、他社に委託して製造するか、輸入するかにかかわらず負う必要があります。

化粧品製造販売業許可を取得するために必要なこと(要件)

化粧品製造販売業許可を取得するためには以下の要件がそろっている必要があります。(薬機法第12条の2)

  • 人的要件が適合していること(申請者が欠格条項に該当しないこと、総括製造販売責任者を設置すること)
  • 品質管理の方法がGQP省令に適合していること
  • 製造販売後安全管理の方法がGVP省令に適合していること

以下で詳しく見ていきます。

申請者(法人の場合は業務を行う役員)が欠格条項に該当しないこと

申請者(法人の場合は業務を行う役員)が薬機法に定められている欠格条項(第5条第3号)に該当しないことが必要です。

過去に薬機法違反で許可を取り消された会社であることや、麻薬中毒者であることなどが欠格(許可を与えることがでいない者)として定められています。

 第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者

 第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者

 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、3年を経過していない者

 イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から2年を経過していない者

 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 精神の機能の障害により製造販売業者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適正に行うことができない者(施行規則第8条)

総括製造販売責任者を設置するこ

化粧品製造販売業許可を取得するためには、「総括製造販売責任者」を設置する必要があります。(薬機法第17条第1項)

総括製造販売責任者とは化粧品の「品質管理」と「製造販売後安全管理」を管理監督する責任者のことです。

総括製造販売責任者には一定の基準が定められており、この基準に該当するものでなければなることができません。(施行規則第85条第2項)

  1. 薬剤師
  2. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
  3. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者
  4. 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

品質管理の方法がGQP省令に適合していること

化粧品製造販売業許可を取得するためには、体制的要件として GQP省令に適合していることが求められます。

GQP省令には責任者の設置、作成する必要のある手順書、手順書に基づき実施するべき業務など、化粧品の品質管理についての基準が定められています。

GQP(品質管理基準)に基づいて、あらかじめ責任者を決め、手順書を作成するなど、許可後直ちに実施可能な品質管理体制を構築しておく必要があります。

製造販売後安全管理の方法がGVP省令に適合していること

化粧品製造販売業許可を取得するためには、体制的要件として GVP省令に適合していることが求められます。

GVP省令には責任者の設置、安全管理情報の収集・検討など、化粧品の製造販売後安全管理に関する基準が定められています。

GVP( 製造販売安全管理基準)に基づいて、あらかじめ責任者を決め、許可後直ちに実施可能な製造販売後安全管理体制を構築しておく必要があります。

この事の執筆者


大西 務(おおにし つとむ)

京都府在住。1974年生まれ。2007年行政書士試験に合格。製薬会社の薬事部門で申請や届出などの業務を10年行い、2019年末に退職。2020年7月に「行政書士大西事務所」を開業→2024年9月廃業。50歳を前にして離婚も経験。温泉好きのいぬバカが書いています。

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